ゼブラフィッシュにおけるjump starterシステムの開発

浦崎明宏、浅川和秀、川上浩一

国立遺伝学研究所

 我々はトランスポゾンTol2を用いて遺伝子トラップ法およびエンハンサートラップ法を開発し、組織特異的にGFPを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを作成してきた。これまで、トランスポゾンを持つプラスミドと転移酵素トランスポゼースを受精卵に微量注入することにより、トランスポゾン挿入を作成してきた。今回、マイクロインジェクションを用いずに新たなトランスポゾン挿入を作成する方法であるjump starterシステムを開発した。ゼブラフィッシュhsp70プロモータの制御下に転移酵素cDNAを持つトランスジェニックフィッシュを作成した。転移酵素cDNAと1コピーのエンハンサートラップコンストラクトを持つダブルトランスジェニックフィッシュにヒートショックをかけ、次世代から新たなGFP発現パターンを得た。これらについて分子生物学的解析を行い、ゲノムに組み込まれたトランスポゾンが新たな部位に挿入することを明らかにした。我々の開発したjump starterシステムは新たなトランスポゾン挿入を効率的に作成するのに有用である。