ゼブラフィッシュL型レクチン lman2la は、体幹運動の発達に必要である
L - type lectin Lman2la/VIPL is required for embryonic movements in zebrafish.
○Kazuhide Asakawa1,2,Koichi Kawakami1,2
1)National Institute of Genetics, 2)Graduate University for Advanced Studies (SOKENDAI)
Animal behaviors rely on c oordinated movements of t he
trunk. We screened zebrafish mutants that displayed deficits
in trunk movement and identified a mutation in lman2la/
VIPL, which encodes an L-type lectin regulating glycoprotein
trafficking. We found that the ectopic expression lman2la in
the neuronal cel ls rescued t he l man2la mut ant phenot ype,
suggesting that Lman2la-mediated glycoprotein trafficking in
the central nervous system plays a key role in the coordinated
trunk movement.
私たちの身体から生まれる無数の美しい所作・動作
の多くは、調和のとれた体幹の動きによって支えられ
ている。調和のとれた体幹運動の制御メカニズムを分子
レベルで理解するために、我々は、モデル脊椎動物であ
る小型熱帯魚ゼブラフィッシュを用いて、体幹運動に異
常を示す変異体を探索した。ゼブラフィッシュ胚は、皮
膚に対する機械刺激を感知すると、素早く滑らかに体幹
を旋回させて、泳いで逃避する。今回我々は、体幹の動
きに異常があり旋回方向を誤るという興味深い表現型を
示す変異体の単離に成功した。この変異の原因遺伝子
は、糖タンパク質の選別・輸送にかかわるL型レクチン
Lman2la/VI PL をコードしていた。我々は、lman2la が
機能する細胞種を同定するために、まず組織染色によっ
て lman2la 発現細胞を検出しようと試みたが、lman2la
の発現量が微量であるために成功しなかった。このよう
な状況を打破する為に、我々は細胞種特異的な lman2la
発現法を構築し、lman2la 変異体の体幹運動異常のレス
キュー実験を実施した。その結果、脳や脊髄の神経細胞
に lman2la を発現させると、lman2la 変異体の体幹運動
異常が抑圧されることを見いだした。これらの結果か
ら、我々は、Lman2la を介した糖タンパク質の輸送・選
別システムが中枢神経系において機能し、調和のとれ
た体幹運動の制御に重要な役割を担っていると考えてい
る。
|