The Zebrafish VIPLa mutant is defective in activating the Mauthner cells in the escape behavior.
ゼブラフィシュVIPLaは逃避時の網様体脊髄路ニューロンの活性化に必要である。

Kazuhide Asakawa,Koichi Kawakami
National Institute of Genetics, SOKENDAI

We analyzed a zebrafish VIPL mutant that displays a defect in locomotion. By performing the calcium imaging, we found that the Mauthner cell, a brainstem reticulospinal neuron that triggers the escape behavior, was not activated in the VIPL mutant animals in response to touch sensation. Our results suggest that VIPL is necessary for the activation of the brainstem reticulospinal neuron in zebrafish.

L型レクチンVIPLは、糖鎖タンパク質の細胞内輸送を制御している。VIPLは脊椎動物の間で高度に保存されているが、変異体を用いた研究が十分ではない為に、個体レベルの生理機能がほぼ未解明である。 我々は、モデル脊椎動物ゼブラフィッシュの逃避行動の変異体スクリーニングにおいて、VIPLのパラログの一つ、VIPLa遺伝子の変異体を単離した。VIPLa変異体は、体表に触覚刺激が与えられても逃避行動を示さなかった。 一方で、VIPLa変異体の脳幹に人為的にVIPLaを発現させると、逃避行動の異常が一部抑圧された。これらの結果から、VIPLaは少なくとも脳幹において重要な機能を担っていると考えられた(第30回年会で発表)。 本研究では、この仮説を検証する為に、カルシウムイメージングを用いてVIPLa変異体の脳幹活動をモニターする系を開発し、触覚刺激によって駆動されるVIPLa変異体の脳幹活動を記録した。 その結果、VIPLa変異体に触覚刺激に与えても、逃避行動の開始に必要な網様体脊髄路ニューロンであるMauthner細胞が活性化されなかった。 したがって、VIPLa変異体の逃避行動の異常の一つは、Mauthner細胞が活性化しないことにあると考えられた。これらの結果は、VIPLaが脳幹の神経活動に必要であることを示唆している。